恋愛に悩む女子はもっとaikoを聴け『湿った夏の始まり』
「aikoとか宇多田ヒカルとか好きなんだよね」と発言すれば、少しばかり年代が上の方からは「世代じゃないよね~?」と言われる。
そもそも世代とは何なのか。aikoも宇多田ヒカルも現在進行形で活躍しているし、宇多田ヒカルなんて昔より音楽性が変わっている感じがするし。そもそも世代なんて関係ないのではないのか。
aikoに至っては今年43歳。
それでも、23歳の私でも涙せずしてこのアルバムを聴ききることができない。
何で私の気持ちが分かるの、と。ぐりぐり、苦しいところをえぐってくる。
aikoのラブソングは、名字のハンコ売り場のようなものだと思っている。
自分の恋愛が必ずどこかにあるのだ。それも、名字みたいにひとつじゃなく恋愛なんていくつもあるのに、その時々にぴったり同じハンコが存在する。
そんなaikoが今年6月にリリースしたアルバムを遅ればせながら紹介しようと思う。
『湿った夏の始まり』
重い。全体的に重い。私が一聴した時に抱いた感想だ。
M1.『格好いいな』
あたしの泣いた顔はブス
それを見る困った顔も格好いいな
なんてストレートな歌詞だろう。情景が浮かぶ。
このストレートな表現が素敵。私みたいにもう終わっているくせに思春期を理由に歌詞をこねくり回してる人間にはかけない。というかそうでなくてもかけない。潔い。
M3.『ストロー』
シングルカットされている曲。
君にいいことがあるように 今日は赤いストローさしてあげる
君にいいことがあるように あるように あるように
かわいい曲だなってなるじゃないですか。でもこれが絶妙に切ない。
寝癖ひどいね 行ってらっしゃい 小さくさようならと手を振る
明日も君の笑顔を見られますようにと手を振る
aikoおおおおおおおお!!何それ!!!明日も!!君の笑顔!!
見られへんの??!????!
ってなりません??...深読みなのか???
いや、きっとあながちそうでもない。君にいいことがあるように赤いストローさしてあげるを繰り返して、すごくポップで可愛いのに騙されちゃだめ。そんな簡単に騙されちゃだめよ!!(誰
全体的に歌詞は少し憂いを含んでてもの哀しい。それかもしくは私がただただめちゃくちゃにネガティブ。はい次。
M7.『愛は勝手』
何も受け入れない方が 悲しくないし良いと思っていた
だから信じられなくても どうせいつもの事だと吐き捨てた
aikoの曲って可愛いラブソングなイメージが結構あるでしょ。
少し背の高いあなたの耳におでこ寄せて甘い匂いに誘われたり。
でもこんなどうしようもなく曲がっている曲もあるんですねえ。
盗んだ心をどう扱っているの?
毎日何回触ってくれているの?
こんなあたしとずっと一緒にいたいの?
ねえ、どうですか女子のみなさん。わかるやろ。わかるやろ。
M12.『宇宙で息をして』
苦しくなってきたやろ。ちょっとそんな悩める女子の皆様のためにちょっとこの曲を。
今日あなたを見かけたよ 前みたいに苦しくなかった
髪型とかゆるいシャツだからとかじゃなくて
なんか・・・経ったんだな
この冷静なaiko。
アルバムの中での情緒の幅が聴く人の心を揺さぶって落ち着かせる。
あの時はもう前を向いて
一生歩けないって思ってたけど
思ってたけど、なんとか立って、なんとか歩いていってるんですよ。
aikoの曲を聴いてると、aikoの今までの恋愛の苦悩が見えてくるような気がしてくる。もちろん音楽は音楽であって、その人の人格や人生そのものと紐づけるのは違うとは思うんだけど。
でも、なんとなくノンフィクションを見てる気がして目が離せないし涙があふれて止まらない。
そんなaikoお姉さま。世代じゃないよね~とか言わんといて。
20代前半にもぐさぐさ刺さるから。そんなアルバムです。ぜひ。