風に溶けて消える

そんな穏やかな気持ちで生きたいほんとは。限界OLバンドマン

記憶が美化される前のヒリヒリとした感情を音楽が閉じ込めてくれたら

この素晴らしい 煩わしい気持ちを

真空パックしておけないもんかなぁ

Mr.Children / Drawing

 

真空パックと聞くと、思うと、必ずこの曲のこの歌詞を連想してしまう。

 

真空パックしたいと、唯一思うのは音楽だ。それも、記憶に紐付いた、音楽。記憶が思い出になって美化される前の。

 

あの日の感情とかあの頃の感覚とか苦しみとか虚しさとか切なさとか、そういう微細で繊細なものを、音楽が真空パックしてくれたら。私が求めるそれは決して優しいものではなくて、ヒリヒリするような生きている実感みたいなもの。

そんなものを切に求めてしまうのも変な話だけど、過去の感覚や感情をリアルに思い出せた時って、『ああ、そんなことも思いながら今まで生きてきたんやな、そういえば生きてたんやな、これまでも』って、改めて確信して心が安らぐ、落ち着ける。これまで生きてきた、なんて、当たり前のことなんだけどね。

 

だから、そんな極めて感覚的な、目を開けるとすぐに消えてしまうような微妙なものを、綺麗な音楽たちが閉じ込めておいてくれればなあと思う。

 

ただの記憶にはそんなもの求めないのに。日々思うこと、起こること、こうやってブログに言葉選びながら綴ったって、後から見返すとやっぱりその当時の気持ちは思い出せないんだもんなあ。どうにか思い出そうとするけど、どうしても同じ気持ちにはなれない。なんか、それもそれでやるせないけれど。

 

集中しているフロー状態から抜けた直後に聴く音楽は、いつもよりフラットに入ってくるんだろうか。さっき聴いた思い出の曲は、あの頃のそのままの新鮮なにおい、感覚が漂ってきて驚いた。他の曲もできるかな、思い出せるかな、って曲を変えてみたけど、その曲っきりだった。

 

だけど諦められなくてまた記憶の紐付いた曲を流す。聴こえてくるのはただの音楽だ。虚しい。