別れ話の尺
別れ話、って、一体何を話すんだろう。
過ごした時間分思ったこと、もらったもの、あるはずなのに、なぜ一緒にいられないかまで話さなきゃならない。
どの記憶をどの尺で話せば収拾がつくんだろう。そもそもそんなものは必要ないのだろうか。
正解がわからない。
正解なんてないのに。
いろんなところに飛び散って、まとまらない思考は考えることを放棄させる。
終わりまでこんなに冷静に自分の頭の中を後ろから眺められるんだから、そもそもあれは恋と呼んでよかったんだろうかと思ってしまう。
そんな、朝だった。
朝は思考がフラットでクリアだから、感情的にならずに物事を考えやすい。
そんな朝が消えそうになって、何かに縋りたくて、気を紛らわしていたくて、飲めるかわからないカフェラテを買った。
カフェインアレルギーだからたまに気分が悪くなるのに。それでもなんとなく、コーヒーに縋りたくなった。
喉を通る冷たいカフェラテの甘みと、その後にやってくる鼻に抜ける久しぶりの苦味。
そのまた後にやってくるコーヒーの精神安定作用に安心して、不思議と穏やかな朝を始める。
世界の色が違って見えるのは何の作用だろう